う) 打たれた原因?リトルリーグみたいな小さな球場だから

oyecom2005-04-08

堀内はミセリが2回救援に失敗した後で、ミセリに質問してみた。炎上なんて空しくならないのか、と。
「お前がこういうのを空しいと感じるなら、それはお前がまともな人間である証拠だし、それは喜ばしいことだ」
と彼は言った。「リトルリーグみたいな狭い球場で打たれたって得るものなんて何もない。
疲れて、自分が嫌になるだけだ。そりゃ俺だって同じだよ」」
「じゃぁどうしてあんなに炎上するんだ」
「それを説明するのはむずかしいな。ほら、ドストエフスキーが賭博について書いたものがあったろう?
あれと同じだよ。つまりさ、可能性がまわりに充ちているときに、それをやりすごし通りすぎるというのは大変にむずかしいことなんだ。
それわかるか?」
「なんとなく」と堀内は言った。
「日が暮れる、ファンはテレビをつけてごそごそして酒を飲んだりしている。
彼らは炎上を求めていて、俺はその炎上を彼らに与えることができるんだ。
それは本当に簡単なことなんだよ。水道の蛇口をひねって水を飲むのと同じくらい簡単なことなんだ。
炎上なんてあっという間にできるし、向こうだって炎上を待ってるのさ。それがプロスポーツというものだよ。
そういう可能性が転がっていて、それをみすみすやりすごせるか?
自分に能力があって、それを発揮できる場があって、お前は黙って通り過ぎるかい?」
「やれやれ」と堀内は言う